2016年1月22日金曜日

ふたつの印象的な夢のはなし。フルカラーとモノクローム。

ほとんどの夢は目覚めると忘れてしまう。
頑張っても情景がぼんやり浮かぶだけで
どんな内容かまでは覚えていない。

印象に残る夢は内容だけでなく、音や色も鮮明に思い出すことができる。

フルカラーの夢。
風呂場のタイルの水色。
風呂桶の薄桃色。
浴槽に張った湯が赤い。
私は取り乱している。
「違う違う」を連発して事態を否定しているが何も違くない。
シャワーの音が響いている。
両肘から濃い赤色が垂れて湯船にマーブル模様を作る。
「大変」と上ずった母の声。いや姉か。
両手首は変な方向に折れ曲がって白い骨が飛び出している。

小学生の頃に両手首を骨折したことがあり、
手首の骨が剥き出しになっているのを見たことがある。
たぶんそのときの記憶が混ざっている。

モノクロームの夢。
喫茶店の窓際の席。
木製のテーブルを挟んで、向かいに知り合いの女優が座っている。
外は風が強くて枯れ葉が舞っている。
女優が外を眺める。
彼女の横顔は美しいがエクステの睫毛が少し長過ぎて不自然だな、と思う。
女優はよく喋る。
手元の真っ黒いコーヒーには手を付けない。
窓からの景色を「リヨンの街並みに似てるの懐かしい」と言う。
私は「ああそう」とぶっきらぼうに答える。
彼女はリヨンの舞台で台詞を必死に覚えたのだと言って、
フランス語をペラペラ喋り出す。
意外にも滑らかな抑揚でrの発音も美しかった。
散々喋り女優は満足したのか、コーヒーカップの取っ手に指を絡めて持ち上げる。
爪はマニキュアが丁寧に塗られていて艶やかだ。
気取った仕草が鼻についたが、彼女はうっとりするほど美しかった。

この夢がフルカラーだとしたら、そのマニキュアはたぶん赤色だろうと思った。
あと、モノクロームだからこそ、彼女は美しく見えたのだろうなとも思った。


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